特定外来生物等の選定に係る意見

以下の内容で環境省に意見を提出しました。

[意見]
1意見の対象となる種 ヌートリア

2意見の概要
 ヌートリアは、湖沼や河川の水際に発達する植物群落を食害し、これらを生息の場とする動物へ間接的に悪影響を及ぼすことが強く懸念されるため、特定外来生物への選定は妥当である。

3意見及び理由
 ヌートリアは、河川や湖沼の水際などに発達する植物群落や水田作物を食害することが知られている。特に、イネ科やカヤツリグサ科を中心とした大型の高茎草本群落は、在来の小型ネズミ類であるカヤネズミや、ヨシゴイ、オオヨシキリ、セッカなどの鳥類の営巣地として、また、多くの冬鳥の餌場や渡り鳥の休息場、ねぐらとしても、極めて重要な機能を有している。

 ヌートリアは、現状では中国・四国地方を中心に分布するが、既に近畿地方でも多数の生息が確認されている。本種は比較的大型のほ乳類であり、人為的な移出入によって、他地域への拡散が飛躍的に進む恐れがある。その防止策として、特定外来生物への選定は妥当である。

 本会は、主要な活動として、毎年カヤネズミの全国的な分布状況を調査している。これまでに蓄積された調査データから、カヤネズミの重要な生息環境であるススキやオギ群落の減少が懸念されており、これを助長するおそれのある要因の一つに、外来生物による生態系の攪乱が挙げられる。今後さらに、特定外来生物の選定が進み、これらの外来動植物の取り扱いに強い規制がかかることを望む。

参考)カヤマップ(全国のカヤネズミの分布状況)

以上。

全国カヤネズミ・ネットワーク
代表 畠 佐代子


2005年3月2日

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